バターねこの雑談部、結成。
バターねこ「さて、やるか」
ユウ「ええ、そうね」パラ
バターねこ「.......」
ユウ「.......」
バターねこ「ちょっとまって」
ユウ「なにかしら?」パラ
バターねこ「『なにかしら?』じゃなくて。普通こういうときは何するのか訊くだろ」
ユウ「なにをするの?」パラ
バターねこ「うん。まずその文庫本を置こうか。森見登美彦さんのね。『四畳半神話大系』ね。おもしろいけどね」
ユウ「はぁ。仕方ないわね」
ユウ「それで、なんで私呼ばれたの?」
バターねこ「雑談をしようぜ。雑談を」
ユウ「......」
バターねこ「おいやめろ。排水口に絡まった髪の毛を見るような目で俺を見るんじゃない」
ユウ「あなた自分のことをそんなふうに思っていたの? 大丈夫よ。違うから安心して」
バターねこ「あ、そう?」
ユウ「そもそもアレはもともと自分の一部だったものよ? 過度な軽蔑を示す表現としては不適切だわ」
バターねこ「返せよ! 俺の安心! なんだよ、過度な軽蔑って!」
ユウ「ごめんなさい。あまりに突拍子もないことだったから」
バターねこ「コホン、とにかくだな」
バターねこ「人が二人いれば会話が発生する。これはごくごく自然なことだ」
ユウ「異議あり」
バターねこ「早いよ。意見が。いま前置きじゃねえか」
ユウ「私は相手によっては口を利かないことがあるわ」
バターねこ「そういうのやめよう? 友達いなくなるよ?」
ユウ「こんなことでいなくなる人は友達とは言わないわ」
バターねこ「お前よく今までやってこれたな」
ユウ「あなたに言われたくないわ」
バターねこ「ぐぬぬ。俺も友達が多くないだけになんとも言えん」
バターねこ「と、とにかくだ」
バターねこ「何を隠そう、俺はあんまりそういう会話が得意ではない」
ユウ「そうなの? てっきりコミュ力あると自惚れてるんだと思ってたけど」
バターねこ「......だからさ。訓練がしたいわけよ。雑談の」
ユウ「それで私が選ばれた、と」
バターねこ「題して! 『バターねこコミュ障改善プロジェクト #4』!」
ユウ「......そういうところから直していったほうがいい気がするわ」
バターねこ「なんか言った?」
ユウ「いいえ、独り言よ」
ユウ「#4っていうのはなんなの?」
バターねこ「話すとながい」
ユウ「そう。じゃあ訊かないわ」
ユウ「会話の訓練をするのはいいとして、題する必要ある? お寒いバラエティみたいになってるじゃない」
バターねこ「なんだよ。じゃあ他に案あるのかよ」
ユウ「そうね。『対人間特化話術研究会』とかにすれがいいんじゃない?」
バターねこ「いや、物騒だよ! 物騒! なんか呪いとかそんなん想像しちゃったわ!」
ユウ「ちがうの?」
バターねこ「違うねえ! まず相手に対する敵意みたいなものを消さないとね!」
バターねこ「......まあいい。とりあえず呼び方の件は保留で。とにかくこれから俺はコミュ力を磨く! 協力してくれ」
ユウ「それで、私は何をすればいいの?」
バターねこ「話し相手になってくれ」
ユウ「え」
バターねこ「話し相手になってくれ」
ユウ「いや、聞こえてたわ」
バターねこ「普段どおり、俺と接してくれればいい。よろしくおねがいします」
ユウ「いままでの話、私にする必要あった!?」
続く?